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プロローグ

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プロローグ


私の初恋は、お兄ちゃんだった。


片瀬 雪乃(ゆきの)、24歳。

駅前にあるレンタルドレスショップで

ドレスのメンテナンスをするのが私の仕事だ。

片瀬は母の旧姓で、10年前までの苗字は違う。

三つ年上の兄は心配性で、お節介で、

週の半分は定時で仕事を終えて店の近くで私を待つ。

学生時代に付き合った三人の彼氏からは

お兄さんがどうしても、と、別れを切り出された。

仕事を始めてからも彼氏の出来ない私を案じて

同僚や友人が誘ってくれた合コンでも

21時になると決まって電話に出るまで

着信音が鳴り響くもんだから、周りは興醒め。

そんな兄が、私の初恋の相手だ。

だけど、元々はそんな兄じゃなかった。

どこにでもいる、普通の優しい、お兄ちゃん。



「雪乃、お疲れ。」


いつもの場所に停車した、シルバーのセダン。

運転席の窓が開くと手を上げた。

車が来ていない事を確認すると助手席に乗り込む。

片瀬 有起哉(ゆきや)、27歳。

オフィスビルが立ち並ぶ一等地、

高層ビルの高層階にある不動産会社の主任。

昔から頭が良くて、手先が器用で、

中学では剣道で都大会優勝の成績。

元々茶色の髪と瞳、大きな二重の目。

笑うと覗く八重歯。

中学では密かにファンクラブまであった、らしい。

一方の私はファンクラブなんて無縁で、

兄妹似てるね、とよく言われたけど、

そんな筈なかった。

頭はいまいちで、得意な科目は美術だった。

運動もそこそこだったから吹奏楽部で木琴をやった。

特別にモテた経験もない。

兄とは、全然、似ていない。

だって、私たちは血が繋がっていないんだから。


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