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初めての一人旅

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初めての一人旅

生まれて初めて、一人旅に出ることにした。
凄く不安だったけど、『そこ』にはどうしても行ってみたかったから。

だから僕は『旅』に出た。

「本日は当ステーションをご利用頂き、誠にありがとうございます。『船』はお好きなものをご利用頂けます」

無機質な空間に、不自然な程明るいアナウンスが流れている。
事前に調べた中では、このステーションの『船』が一番安価で、利用者もそれなりに多いようだった。

「えっと、『船』は・・・」

キョロキョロと辺りを見回すと、ロビーの先、短い階段の下に所狭しと『それ』は並んでいた。

「あれが・・・『船』」

整然と並ぶ『船』は、一見レストランのテーブル席の様だ。大小様々な四角い長テーブルが所狭しと並んでいる。
その一つ一つが『船』らしい。

『そこ』が在ることが分かってからは何十年もの月日が経っているという。何年も政府に秘匿されていた『そこ』は、交流が本格化すると共に各国政府から一般公開された。
『そこ』に行くには特殊な『船』がいる。
一般人が気軽に『そこ』に行けるようになってからもう何年も経つけれど、僕はまだ一度も行ったことがない。

「準備の整った船から、順に出発致します」

流れるアナウンスに『船』を見れば、次々に動き出している。

「僕も早く乗らなきゃ!」

一般向けに気軽なツアーを提供しているこのステーションは人気があり、見る間に『船』は無くなって行く。
他人と交流するのが苦手な僕は、多人数向けの大きな『船』に乗るのを躊躇ってしまう。出来れば小さな『船』に一人で乗りたい。
焦って探している間にも、次々『船』は出航して行く。 大きな『船』の余り席すら直ぐに無くなっていく中、端の方に少々古い型の小さな『船』を見付けた。
急いで席に座り、ホッと息を吐く。すると、向かいの席に知らない少女が座る。

「あなた一人だよね? 私もなの。一緒させてね!」

遠慮のない様子で、目の前の少女は明るく笑う。
出来れば一人で行きたかったけど、断る勇気も無いので、曖昧に頷く。

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