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冬桜

小説 BL

冬桜

たろまろ

(5)

好きになってはいけない人でした。

完結

168ページ

更新:2017/10/24

説明

 白川 智聡(しらかわ ちさと)は気ままな実家暮らしの大学二年生。
 バイト先の居酒屋『赤とんぼ』で出会ったサラリーマン、大間 篤(おおま あつし)は地方都市からの単身赴任者。侘しい食生活を補うため、夕飯をいつも赤とんぼで済ませていた。
 常連客とバイト。
 それだけの関係のはずだったのに、不意に見せる大間の憂いを帯びた表情に心が揺れる智聡。しかし大間には妻と可愛い娘がいた。
 それを知りながら大間と過ごす優しい時間。
 智聡の心に降り積もっていく想い。

 誰にも知られてはいけない。
 
 小さな恋物語。


 

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作品レビュー

あーる
あーるさん
【作品】冬桜についてのレビュー

ネタバレ

シンと冷え込む冬の真夜中、いつのまにか降りだした雪が音もなく降り積もっていく様子をそっと窓からながめている、そんな気持ちで読み進みました。

単身赴任中の大間さんと居酒屋アルバイトの大学生智聡くん。
2人は智聡のバイト先で出逢い、ゆっくりと想いを重ねていく姿がいろいろなエピソードで綴られます。一気に熱くなるのではなく、智聡の葛藤、大間さんの陰を感じながらも、愛情がジンワリと沁みていく感じがしました。

7つも歳が離れている2人なのに、まるで二匹のワンコがじゃれあいながら、お互いへの気持ちを育んでいるようにみえます。(大間さんが描いた絵が目に浮かびました(^^))
時々どちらが年上かわからなくなるようなシチュエーション、とても可愛らしかったです。

智聡はなぜあんなにも自分の気持ちを押し込めようとするのか…それはやはり男の子だから、なのでしょうか。(智聡も言ってましたよね)
女の子なら「私の方がもっと幸せにできる」と考えてしまうかもしれないけれど、同性であるがゆえ、大間さんの立場や状況、気持ちが想像できてしまう。大間さんを本当に好きだからこそ、常にその気持ちを優先にしちゃう、のかな。
「終わり」を伝える智聡が、悲しいくらいに健気で……切なくて泣けてしまいます。

大間さんの心の動きは慮ることしかできませんが、会話で、態度で、智聡に心を許し、どんどん距離が近づいて行くのがわかります。
事あるごとに、智聡の大好きな手で頭をワシャワシャしたり、露天風呂でのおててニギニギ、もうかわいくて仕方なかったんでしょうね。あんな態度で慕われたら心が動かないはずないですよね。寂しさを感じてた心の隙間にストンと智聡がはまって、癒されたのでしょう。
でも、去って行く智聡をすぐ追いかけなかった…ふにゃっとしてボーッとしてるけど、本当は男らしくて真っ直ぐな大間さん。今の自分じゃダメだって痛感したのかもしれません。
その大間さんの覚悟と想いが、描写の少ないラストシーンだけで強く伝わってきました。

冬桜は冬から春にかけて二度咲くそうですね。
いつのまにかお互いにとって「代わり」などいない存在となった2人、二度目に咲いた花は散ることなく咲き続けるのだろうな、と思いました。

読み終わっても、物語の余韻が続いています。
寒くなりもの寂しさを感じ始める季節に読むと、物語の世界を実感しつつ、じんわりと暖かくなれるお話です。

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2017/10/22 17:34
コメント(2)

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