エブリスタ
熊川直孝さん [「僕と23人の奴隷シリーズ」へのレビュー]
2014/6/28
【2014年6月28日。本日映画公開!】

 眠らない街・東京24時。23区+「僕」

 欲望と憎悪と愛情のロンドが【付けるだけで他人が奴隷になる】悪魔のアイテム《Slave Contorol Method》こと【SCM】の共鳴音と共に奏でられる!

 キャバクラで、お姫様カフェで、都心の雑踏で、そして全ての登場人物が何らかの形で口にする【あるカリブ海の島国】で、マルチアングル・ザッピング・リレー形式によって、登場人物達の奴隷争奪戦が描かれて行きます。
 非常に考え込まれたプロットと、奥深い世界観。
 軽薄な台詞やスノッブなキャラも、実は後に展開されて行くストーリーに深い関わりがあることを知った時、読者は唖然として叫び声を上げることでしょう。

 是非とも2度3度読み返すことをオススメしたい作品です。

 実は、この事実に気付く方がどれくらいいらっしゃるのか不明なのですが、「春夏秋冬」+「ある地名」のコード・ネームと、主要登場人物(人格?)名がリンクしていたり、今作品『奴隷区』の出版元である双葉社から、やはり刊行されている(現在版権を持っている)某「世界的大泥棒の孫」が活躍する劇画のヒロインと同じ「フジコ」という名前のキャラの位置付け(敵か? 味方か?)であったり、カマキリのインサート場面であったり(余談ながら、初版単行本1巻のイメージイラストがカマキリ)……膨大なメタファーや仕掛けが盛り込まれており、言葉遊びや比喩などと相まって、いわば「携帯小説界の『虚無への供物』」レベルの大作が成立していると思うのです。
 
 中でも感心したのは、SCM追跡システムカラーと、キー・ワードの持つトリプル・ミーニング。これは後半部分である人物たちの会話に出て来る「スーツカラー・コンプレックス」とも対を成しているので、要チェック!

 凡人が、人として駄目な部分を兼ね備えていた。この真理を証明するべく、ラストに《東京大かくれんぼ》という形での回収作業を行うまでの流れ、これは壮大なタペストリーの様であり、オープニング部分の伏線のシンメトリー効果としても生きている、驚くべき描写・構成でしょう。

 映画版『奴隷区~僕と23人の奴隷~』は、また違った設定・アプローチで、エブリスタユーザーを驚かせてくれることでしょう。

「宿命」の花を、あなたに……Blessed(ブレセッドゥ)! 

 
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